歴史の地殻変動(訪米総括)
今日で最後。ジョージタウン大学の仲間で今は通商や国際経済戦略などを専門としている友人たちと食事に行ってすべての日程が終了した。
昨日申し上げたリンカーンメモリアルの思い出の場所に立ってみた。「フォレスト・ガンプ」で昔の恋人と出会う場所であり、アメリカ史上、いや世界史上最も有名な演説であろうキング牧師の「I have a dream」のスピーチがなされた場所である。
1時間くらい座っていろいろなことを考えた。
最初に来たのは19歳のときだった。38歳の私としてはちょうど人生の半分の時点で座っていた場所にもう一回座ったわけだ。
私はアメリカという国に極めて複雑な思いを抱いている。かつては日本に原爆を落とし、東京大空襲をはじめ、多くの我々の先人の愛する家族を奪った。通商摩擦では不当な要求を突きつけ、私が通商専門家を志す大きなきっかけになったのは、アメリカをはじめ脅しに屈しない国際人として国のために尽くしたい、と憤りとともに強く思ったことだった。実際、経済産業省にいたときに戦ったのはほとんどアメリカ相手だった。
しかし、もし戦後日本を支配したのがアメリカではなく、ソ連だったら今頃どうなっていただろうか?アメリカの存在なくして今日の繁栄はありえないし、それは世界中で同じことが言える。紛争はあるが、大きな戦争が起きないのはアメリカ一国の重しがあるからではないか。だからかけがえのない友人であるし、その関係は崩してはならない。
今、世界で大きな地殻変動が起きている。「Change」を叫んだオバマ大統領も、真似をした鳩山民主党も、結局「Change」の先に何があるかを自分たちでもよく分からないまま政権交代の先に輝かしい未来があるかのような幻想を与え、わずか一年(日本は半年)で幻想バブルがはじけた。それは、第2次世界大戦、その後の冷戦、といった非常事態を抜け出すという明確な目標がなくなったこと、そしてその後20年経済的豊かさを求めてきたが、実体経済をベースにしただけでは限界になり、金融、特に信用という幻をベースにして膨らましたが、それもはじけてしまったこと、今はその先に誰もどこを目指していいのか分からなくなったことが根底にあるのではないか。だから、何か分からないけど現状を打破したいという思いを人々に抱かせる。
山は頂上に向かっているという目標がないといつまでも登り続けることはできない。民主主義国家ではトップが替われば何かが変わるという幻想を抱かせることによって消極的な目標を持たせることができる。不満をあおるというのは、ヒトラーをはじめ、昔から政治家が取ってきた手だ。しかし、長くは続かないし、続かせようとするとその後に強権的な政治が行われることになる。今の民主党はそれに近い。
インターネットの登場やコンピュータの存在などは、何百年か後にもちょうど私たちが「産業革命」などとある時代を名づけているように、歴史に残ることになろう。ある意味電話よりも大きな発明かもしれない。それ以外にも、教科書レベルで何百年も残るような大きな変動はここ10年であちこちで起きたし、今も起きている。
産業革命を起こしたイギリスはしばらく繁栄した後、目標を失って衰退した。アメリカもそうなる可能性は十分あるし、日本はその前に同じ道をたどる可能性が今のままでは高い。
繁栄と衰退は紙一重だ。我が偉大な先人が「奢れる者久しからず」と歌った通りである。しかし、我々今の日本を生きる世代には、次の世代に「かつて繁栄した可哀想な国」にして引き継ぐようなことがあってはならない。
歴史的に偉大なリーダーたちには、目の前に大きな課題があったことが多い。リンカーンやキング牧師やアレクサンダー大王、とにかく目の前の明確な大きい課題に勇気を持って取り組んだことが評価されている。しかし、今の時代難しいのは、そうした人々に共有される明確な課題自体がないことである。戦争や人種差別などはない。
おそらくオバマ大統領はその辺のことを理解して「核廃絶」を訴え、ノーベル賞を取った。しかし、事態はそんなに簡単ではない。経済もその時代の選挙には重要だが、小泉総理がそうだったようにたとえ回復させたとしても、それが政府のおかげだといわれることはほとんどないし、歴史的課題ともなりにくい。
そういう大きな視点で見ると、やはり世界的な人口増、資源の枯渇、地球温暖化といった歴史的な課題、日本では財政、高齢化といった避けがたい課題に勇気を持って取り組み、解決しなければならない。高齢化も財政も日本はある意味世界的な課題を先駆けて経験している(2055年には4割以上が65歳以上になる)。この新しいモデルを構築すること、そしておそらくは後期高齢者医療制度のように猛烈な反対を受けるだろうが、それを押し切って100年以上通じるモデルを打ち立てること、一つの明確な歴史的チャレンジではないか
そう。その通り。
ふざけた嘘つき政権、政党と遊んでる暇など1秒たりともありません。そのヴィジョンを具体案に落とし込むのはまかせます。
>高齢化
医療、介護の徹底的な効率化と、自助、共助促進の教育プログラムないし交流の場のサポート、提供などですか。医療従事者のなかにも、もっと効率化できるはずだと感じている人は多いはずです。
お年寄り自身に関しても、元気なお年寄りを各分野から集めて、充実した年の重ね方、高齢者にもできる社会貢献を徹底追及し、それを民間で拡充していく。
くらいですかね。「和」を大切にできる気質と素質をそなえた日本人ならできる。いや日本人だからこそできる。そう信じて活路を探すよりありません。
あまり暇はないかもしれませんけど、「サマーウォーズ」というアニメ作品を、馬鹿にしないで観てみてください。田舎の大家族が主人公と言える物語ですが、老人も中年も若者も全てが主人公であり、必要とされる存在なのだと思いださせてくれます。他にもいくつか大切なことを考えさせられた作品です。
ともかくこっちは専門分野の充実と、草の根の教育、情報拡散しかできませんので。よろしく。
Posted by: : 2010年3月 7日 15:00<< 鳩山嫌い | 人類が向かう先は?今から帰国します >>









